さきがけ社労士事務所労務ニュース2024年5月号

4月からの求人票記載に関するポイント

◆明示する労働条件が追加

 4月1日からの改正で、ハローワークの求人票に記載する労働条件に、「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準」の3つが追加されています。具体的な記載のしかたを紹介します。

◆従事すべき業務の変更の範囲

 採用後、業務内容の変更予定がない場合は、「仕事の内容」欄に「変更範囲:変更なし」と明示します。異なる業務に配置する見込みがある場合は、同欄に変更後の業務を明示します。

◆就業場所の変更の範囲

 異なる就業場所に配置する見込みがある場合は、「転勤の可能性」欄で「1.あり」を丸で囲み、転勤範囲を明示します。

◆有期労働契約を更新する場合の基準

 原則として更新する場合は、「契約更新の可能性」欄で「1.あり」を丸で囲み、「原則更新」を選択してマルで囲みます。通算契約期間または更新回数に上限がある場合は、「求人に関する特記事項」欄に「更新上限:有(通算契約期間○年/更新回数○回)」と明示します。

 更新の可能性はあるもののそれが確実ではない場合は、同欄で「1.あり」を丸で囲み、「条件付きで更新あり」を選択してマルで囲みます。そして、「契約更新の条件」欄に具体的な更新条件を記載します。通算契約期間または更新回数に上限がある場合は、「契約更新の条件」欄にその旨を記載します。

◆記載欄に書き切れない場合

 上記の労働条件について指定された記載欄に書き切れない場合は、求人申込書の「求人に関する特記事項」欄に記載します。

【厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「事業主の皆さまへ 求人票に明示する労働条件が新たに3点追加されるのでご留意ください」】

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/anteihoukaisei.pdf

「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」のポイント

先月の事務所便りでもご紹介した厚生労働省の「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」が策定・公表されました。本手引きに沿って、求職者等が求める情報と、企業が情報提供にあたって注意すべき点をみていきましょう。

◆求職者等が開示・提供を求める主な情報

(1) 企業等・業務に関する情報

・企業等の安定性  ・事業、業務内容  ・入社後のキャリアパス 等

(2) 職場環境に関する情報

・在宅勤務、テレワークの可否  ・育児休業や短時間勤務等に関する制度

・職場の雰囲気や社風  ・社員の定着率 等

(3) 労働条件・勤務条件

・賃金(昇給等も含む)  ・所定外労働時間(残業時間)、所定労働時間

・有給休暇取得率  ・副業、兼業の可否  ・転勤の有無 等

(4) その他

【転職者の場合】

・経験者採用割合  ・経験者採用の離職率  ・研修制度

・オンボーディング制度 等

【非正規雇用労働者の場合】

・就職後のキャリア形成

・正社員転換制度の有無および正社員転換実績 等

◆情報提供にあたってのポイント

・情報量が多くなりすぎないように注意する

・数値情報を提供する場合は、数値の定義を補足する

・更新時期や制度の利用実態などもあわせて正確な情報を提供する

・実績が低調であっても、改善に向けた取組みや今後の方針とあわせて情報提供する

◆「しょくばらぼ」の活用

 中小企業においては、「若者雇用促進総合サイト」、「女性の活躍推進企業データベース」、「両立支援のひろば」に掲載されている企業等の情報を求職者等に総合的・横断的に提供するウェブサイト「しょくばらぼ」の活用を推進しています。幅広い情報提供が可能となるほか、ハローワークインターネットサービスと連携しているため、より少ない作業負担で求職者等に対する情報提供ができます。採用のミスマッチを防いで、労働者の離職率低下やエンゲージメントの向上に役立てましょう。

【厚生労働省「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」を策定しました】

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00013.html

健康に配慮した飲酒に関するガイドラインが公表されました

◆飲酒に関するガイドラインとは

 飲酒による身体等への影響には個人差があります。そのため、飲酒の際にはそれぞれの状況に応じた適切な飲酒量・飲酒行動を本人が判断し、不適切な飲酒によるリスクを抑えていかなければなりません。

 そこで厚生労働省は、国内初となる「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を作成しました。基礎疾患等がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体等への影響について、年齢・性別・体質等による違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどをわかりやすく伝えるものです。そのうえで、考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方、飲酒の際に留意してほしい事項(避けるべき飲酒等)を示すことで、飲酒や飲酒後の行動の判断等に資することを目指すとしています。

◆「純アルコール量」に着目

 ガイドラインでは、適切な飲酒量を測る目安として「純アルコール量」に着目しています。「摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で表すことができ、食品のエネルギー(kcal)のようにその量を数値化できます。

例えば、ビール500ml(度数5%)の場合の純アルコール量は、「500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)」です。そのうえで、疾病別の発症リスクと飲酒量(純アルコール量)を示し、適切な飲酒量の参考とするよう呼び掛けています。

飲酒習慣のある方もない方も、自身や身近な人々の健康を守るために意識していきたいですね。

さきがけ社会保険労務士事務所

南予、宇和島の社会保険労務士です。